どうして私たちは、犬や猫などのペットと暮らすのでしょうか。
欧米でも日本でも、大昔からつい最近まで、家庭で飼われる動物は使役動物の延長でしかありませんでした。犬は家を守る番犬として、屋外で鎖につながれていました。猫はねずみから家屋や農作物を守り、日々近所をパトロールし、恋の季節になると何日も家に帰ってきませんでした。気候が厳しい屋外での暮らし。けがや病気も多く、犬も猫も寿命は今ほど長くはありませんでした。
しかし、私たちの生活が豊かになるにつれて、そして家族の形態が大家族から核家族に変わるにつれて、屋外で暮らしていた動物たちは、部屋の中で大切に飼われる存在となりました。
そして私たちと動物との関係も、1980年代後半頃からの、純血種の犬や猫を「手に入れる」ことに価値を見出すようになった、いわゆる「ペットブーム」の時代を経て、単なる愛玩の対象から大切な「家族の一員」として、犬や猫を見る動きが顕著となりました。
このように、動物といっしょに家の中で暮らすようになり、とても身近な存在となったいま、私たちは動物から何を与えてもらっているのでしょうか。
本講座「ひとと動物の心理学」では、ひとと動物との関係に様々な角度から光を当て、心理学的考察を交えつつ、この問いへの答えを考えていこうと思います。
本講座は、4つのパートからなります。
第1週では、私たちが動物と築く関係性―愛着の絆について考えます。
第2週では、動物との暮らしがもたらす、心身の健康への効果について考えます。
第3週では、動物と暮らすことの「影」の部分について考えます。
そして第4週では、子どもたちが動物と良い関係を築いていくために、私たちおとなが伝えていくべきことについて考えます。
Overview
Taught by
Sakai Ken and Nakajima Yuka