江戸時代の積み重ねなくして、世界的に有名な「明治維新」の成功はない。ヨーロッパと意図的に交渉を持たなかった「鎖国」下の日本で驚異的に進められていったヨーロッパ化の意識革命あればこそ、という認識で、その「実態」を平賀源内、伊藤若冲、円山応挙、喜多川歌麿、そして葛飾北斎といった18世紀後半(1760~1800)の江戸美術界の革命児たちの事跡にみる。鎖国どころか、同時代ヨーロッパをリードしたザ・ピクチャレスクという風景画革命に通じるものを、フランス革命下に爆発したフィジオノミー(観相術)なる顔への関心を、全く同時代の江戸の人々が見出し、追求できていることをみてみるが、決して偶然の成り行きではない。では、この平行現象はどういうふうに説明されるのだろう。
いろいろな説明のしかたがありうるが、最近ヨーロッパ美術そのものをみる見方を一変させた(1)表象論 (representational approaches)、(2)マニエリスム論 (Mannerism)、そして(3)ザ・ピクチャレスク (The Picturesque) 各研究を江戸研究の方に向けてみることで、最近の美術史学の面白さもつたえられればこれこそ一石二鳥である。現代日本で最も先進的な江戸美術論を目指す!
特記すべきは、各週の最終回において、講義の後半(第4週の最終回のみ全て)を英語講義とし、区切りごとのまとめを簡単ながら(美術史の専門用語をまじえた)英語で行う。
コースカード背景
William Sturgis Bigelow Collection 11.7433
Photograph (c) 2015 Museum of Fine Arts, Boston. All rights reserved.
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