memento moriというラテン語は「死を想え」という意味で、現在は幸せに生きている自分自身もいずれは死を迎えることを忘れるな!という警句です。特に中世末期のヨーロッパ、ペストが蔓延するなどして逃れようのない終末観の中で享楽的な生活におぼれるキリスト教徒に対して発せられたこの言葉は、現世での楽しみや贅沢が虚しいものであることを強調するものであり、来世に思いを馳せるきっかけとなりました。
”Man is mortal.(人は死すべき存在である)” と言われるように、われわれ人間はいつか必ず死を迎えます。しかし死んだらどうなるのかと言った、古い時代からの永遠の疑問は、未だ解き明かされないままです。死後世界へと旅立った人々の誰一人として、この世に戻ってきた人がいないからなのでしょう。
そのため正解のわからない死をめぐって、人はさまざまな生活様式(=文化)を創造してきました。授業では現代日本人の死の文化を中心に、「死」について考えます。
なお、本講座は、「東北大学で学ぶ高度教養シリーズ」の第1弾となります。講義内容は、2017年2月に開講した第1回と同じ内容となり、課題内容の一部を変更しております。