この講義では、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授が開発した「iPS細胞(人工多能性幹細胞)」について、基礎知識から医療応用への課題まで概説します。講師は、山中教授が所長を務める京都大学iPS細胞研究所 国際広報室のサイエンスコミュニケーター。研究の最前線から、わかりやすくお伝えします。講義の終了後、ニュースや新聞でiPS細胞に関する情報を目にした時に、ご自身の知識の深まりを実感いただけると思います。この講座を通して、多くの方と新しい医療への道のりを共有できればと考えています。
「第1週:iPS細胞とは」では、iPS細胞発見に至るまでの研究の流れや安全性の向上など、iPS細胞そのものについての知識を深めます。
「第2週:再生医療への応用」では、iPS細胞の医療応用の大きな柱である再生医療について学びます。具体的には、「パーキンソン病」や「がん」の治療に向けた研究などに加え、将来多くの方に再生医療による治療を提供するための「iPS細胞ストック」についてもご紹介します。
「第3週:創薬への応用」では、患者さんの細胞から作製したiPS細胞がなぜ難病の原因解明に使えるのか、どのように創薬に貢献しつつあるかに加え、将来的な個別化医療の可能性についてご説明します。
「第4週:iPS細胞研究を支える仕組み」では、実用化の基盤となる知的財産(特許)の確保や、倫理的な課題、寄付等による研究資金の確保、一般の方々とのコミュニケーション等のテーマについて扱います。この週は特に「自分ならどう考えるか」という視点で学んでいただき、これまで得た知識とあわせて、iPS細胞研究についての総合的な理解を目指します。