私たちや身のまわりの物質は何からできているのでしょうか。この問題は大昔からの謎だったのですが、今では、私たちや身のまわりの物質はすべて、原子からできていることがわかっています。原子が結合して分子ができたり、さまざまな物質ができ上がっています。原子の大きさはとても小さいのですが、現在では、原子や分子をみることができるようになってきていますし、まだ夢の段階ですが、分子でマシンをつくったりすることに挑戦できるようになっています。
この講座「究極のナノマシンを作る/ナノ物質の不思議な世界」は、そんな原子や分子の世界にせまります。
前半の2週間では、私たちが進めている、分子をつくってナノマシンを組み立てるというチャレンジを紹介します。タイトルにある「ナノ」は、原子や分子のサイズを表す言葉なので、分子でできるマシンをナノマシンとよぶことにしています。40億年の進化の結果、生物の中では分子でできた素晴らしいマシンがすでに働いていますので、私たちは、生物に学んで、それをお手本にしながら、人工の分子をつくって、分子の構造や働きを理解しつつ、究極のマシンをつくることをめざしています。そういった私たちの化学からのアプローチにそった物語をお送りしますが、1週目は、化学の基礎を復習してから、自然のナノマシンを学びます。そして、2週目に私たちのチャレンジを紹介します。
ナノ物質が彩るミクロの世界では、物質を構成している原子や電子は、私たちの常識とはかけ離れた原理に従っています。後半の2週間では、まずこのミクロの世界を記述する量子力学と呼ばれる理論を簡潔に学び、原子や分子の不思議な振る舞いを紹介します。そして、このナノ物質の世界に私たちが働きかけ、その様子を調べ、そして操作するためのプローブとなる「光」について解説し、光とナノ物質の相互作用の最先端の理論を紹介します。
Overview
Taught by
Sakabuto IsaoSakae and Otsuki Minoru