16~17世紀、ポルトガル・スペインの両国が大洋に乗り出した、いわゆる「大航海時代」。
それは、日本の戦国時代の歴史が、ヨーロッパのルネサンス・ヒューマニズム文化の歴史に「接続された」注目すべき時代である。
この講義では、日本はどのように認識され、地理上位置づけられたのかを出発点とし、その後、来日したヨーロッパ人がもたらした文化は日本にどのような作用をもたらしたのかを考察する。
当時ヨーロッパはルネサンスとヒューマニズムの新しい文化の開花期。
戦国の日本とそのヨーロッパの文化が「接続」し、世界史上でも特異な「交流」の成果を示した。
江戸幕府の統制において終焉した、花火のような文化交流であったとはいえ、そこには、日本人とは何か、世界と日本を考える上での数多くのヒントが見いだされる。
第1週から第3週にかけてその歴史的なプロセスをたどり、第4週には、特にキリシタン版の歴史に注目する。
キリシタン版は、日本初の金属活字印刷で、朱墨二色刷り・楽譜印刷を含む。
ヨーロッパで作らせた行草体仮名漢字活字を和紙に組版・印刷し、ついには独自の活字鋳造に至るキリシタン版の技術革新を、上智大学キリシタン文庫が所蔵している現存する最古のキリシタン版や、日本初の二色刷り楽譜を持つキリシタン版「サカラメンタ提要」などの貴重資料を用いながら、精細な観察に基づいて辿る。