3Dプリンタやデジタルファブリケーション機器を導入する、小学校・中学校・高校・大学が世界中で増えてきています。また、地域の人々に開かれた、つくるための実験的な市民工房である「ファブラボ」も各地に広がってきています。そのような環境整備と連動して、いま一番大きな変化を迎えているのが、わたしたちの「まなびかた」です。
大学のキャンパスにおける授業は、かつての講義(座学)中心から、実際に手を動かしてものをつくる体験型(演習)へとシフトしてきています。さらにはキャンパスを飛び出して、年齢の異なるいろいろな人々と交わる機会もずいぶんと多くなりました。自分の目で見て、耳で聞いて、手で触れて考える「まなび」が今一度注目されているのです。
慶應大学SFC(湘南藤沢キャンパス)は、2013年に、日本で初めて学内の図書館(メディアセンター)に3Dプリンタを導入した大学です。学生、教員、職員は、たとえ授業以外の目的であっても、機材をいつでも自由に利用できます。学外のファブラボやファブ施設に学生が出向くことも多く、3Dデータをやりとりしながら遠隔でのコラボレーションも行っています。
この講義では、慶應大学SFC(湘南藤沢キャンパス)に所属する大学生のまなびの日常シーンを紹介しながら、「LEARN(まなび)」「MAKE(つくり)」「SHARE(わかちあう)」という3つのサイクルが実際にどのように回るのかを感じていただきます。そして、今後の社会において最も重要と言われる「ティンカリング(いじりながら考える)」というスキルが、実際にどのようなものなのか、どのように身につけるものなのか、どのようにして伸ばしていけるのか、について考えます。
毎週の講義の最後には、まだ3Dプリンタやデジタルファブリケーション機器が身近にない受講生にも取り組んでもらえるような課題を出し、それを通じて「ことばの知識」だけではない、「ものの知識」のありかたについて考えます。最後に、大学入学を目指す希望者には、対面授業として、慶應大学SFC(湘南藤沢キャンパス)での体験講座を予定しています。
「つくる」ことと「まなぶ」ことが一体化した、「ファブ時代」のリテラシーの在り処をお伝えできたらと考えています。
Overview
Taught by
Kato Mio, Watanabe Yuka and Hiroya Tanaka